現代歌人協会は、1956年に結成された歌人の職能団体です。2020年に法人化し、「一般社団法人 現代歌人協会」となりました。

アクセス個人情報保護方針

〒170-0003 東京都豊島区駒込1-35-4-502
TEL:03-3942-1287 FAX:03-3942-1289
(平日10時〜16時)

恐ろしき黒雲を背に黄に光る
向日葵の花見ればなつかし

木下利玄 『紅玉』

対比の鮮やかな一首です。鈍色の入道雲の不穏な色とヒマワリの屈託なく明るい色、「恐ろしき」と「光る」。それぞれの言葉の引力が一首の中でせめぎ合い、緊張感をもたらしています。夏の豪雨の前の空模様のようで、雷鳴が聞こえそうです。その重苦しさにどこか身構えているかもしれません。しかし、その下には一本の生命感にあふれるヒマワリが凛として立ち、一筋の太陽の光が当たっています。近代の日本的洋画のような、複雑な内面世界を風景に託して見せる印象です。そして最後に置かれた「なつかし」はその光景によって抉り出された深層心理のようです。子供時代かもしれませんし、もしかしたら生まれる前の記憶なのかもしれません。

大松達知

What's New

会員エッセイ

(毎月更新)

トップページ現代歌人協会について声明書籍販売リンク集お問い合わせコンプライアンスアクセス

Copyright © 2021 The Kajins Association . All rights reserved.