現代歌人協会は、1956年に結成された歌人の職能団体です。2020年に法人化し、「一般社団法人 現代歌人協会」となりました。

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新しきとしのひかりの檻に射し
象や駱駝はなにおもふらむ

宮 柊二 『日本挽歌』

初出は昭和27年1月3日の「毎日新聞」。新年の賀歌で、のどかで平和な動物園の光景を表現していると言えよう。しかし、結句の「なにおもふらむ」に誘い出されるように、読者の心にもそこはかとない思いが湧いてくる構造になっているところも見逃せない。そして、この歌が発表された昭和27年という年を考えると、どうしても〈戦後〉という磁場を考慮して鑑賞したくなる。周囲の風景や人々の心には、敗戦の傷跡がまだ生々しく残っていただろうし、なにより柊二自身の心がそうであった。戦時の修羅と一見平和に見える眼前の光景との落差をめぐって、柊二の胸に去来したものは何か。「象や駱駝」はまた、いわく言い難いものの象徴のようでもある。

桑原正紀

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