現代歌人協会は、1956年に結成された歌人の職能団体です。2020年に法人化し、「一般社団法人 現代歌人協会」となりました。

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草紅葉のくれなゐ錆びて十月の
終りはとほきしろがねの岸

大辻󠄀隆弘 『橡と石垣』

木々の紅葉ではなく、視点を低くして草の紅葉に目をとめたことが繊細である。紅に染まった葉が、次第に乾いた渋い色合いへと変わる。「くれなゐ褪せて」や「くれなゐ失せて」でなく「くれなゐ錆びて」に空気の質感が託されている。十月がもう終わろうとする日々。翌月に入って七日もすれば立冬である。秋から冬へと移る季節を「とほきしろがねの岸」と捉えたことで、歌の場面に静かな流れが生まれた。「十月の終りは」の助詞「は」が、じつに巧みである。さらに「くれなゐ」と「しろがね」の二つの色彩が一首の中に共存してほのかに響き合い、抒情性豊かな一首になった。

栗木京子

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