現代歌人協会は、1956年に結成された歌人の職能団体です。2020年に法人化し、「一般社団法人 現代歌人協会」となりました。

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鈴虫の籠に身をよせ耳とおき
母が飽かずに虫の音をきく

宇佐美ゆくえ 『夷隅川』

カレンダーで八月が九月に切り替わるようにすっぱりとは、季節は移らない。昼はセミ、夜はカネタタキやコオロギなどの鳴き声が聞こえるという、ふたつの季節の重なりを耳で感じる期間がしばらく続く。セミは遠くから聞くにかぎるけれど、秋の虫の音は〈耳とおき〉人にはどのように聞こえるものだろう。思えば耳が「遠い」という言い方もまた、詩的な表現だという気がしてくる。耳だけが身体を離れて、ひらひら遠くへゆくような。歌集『夷隅川』(千葉県南東部の河川名)は二〇一五年、著者九十二歳での刊行。その後まもなく世を去られたそうだが、現在、娘さんもお孫さんも創作に携わっておられる。季節も、人の生も、重なりながら移ろってゆく。

佐藤弓生

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